アルコールで太るのかを調べていると、「アルコールそのものでは太らないけれども、飲むといっぱい食べてしまうから太る」というようなことが書かれているのを多く見ます。

しかし、いっぱい食べたら太るのは当たり前の話。私が知りたいのはそんな曖昧な話では無く、「食事のコントロールをちゃんとしているのを前提にして、アルコールを飲むこと自体で太るのか」ということです。

結論から申し上げてしまうと、アルコールを飲むだけで何も食べないならば太らないと考えて良さそうです。しかし、夜はアルコールだけで何も食べないなんてどう考えても不健康ですし、そんなアル中みたいな生活がしたいわけじゃありません。

そこで、食事の内容や量はダイエットに最適化したとして、そこにアルコールが加わると太るのかといえば、「飲まない場合と比べれば太る」というのが答えになりそうです。

アルコールで太るのか(目次)
1.アルコールのカロリーは?
2.アルコールを摂取すると、糖質が消費されなくなる?
3.アルコールは体に蓄積されないが
4.やっぱりお酒は太る

1.アルコールのカロリーは?

アルコールのカロリーはエンプティーカロリーだから太らないとよく言われますが、それだけの説明ではエンプティー(空の)カロリーだとどうして太らないのか意味が分かりません。

蒸留酒の場合には、糖質、脂質、たんぱく質ともに全てゼロですから、たしかにアルコールが体脂肪に変わることは全く無いと考えていい気もします。それならば、食事量が同じだとすれば、蒸留酒ならばいくら飲んでも太らないという結論で良いのでしょうか。

まずは、『必読!「間違いだらけの健康常識」』という記事を見つけました。日刊大衆という雑誌のウェブサイト上のもので、新潟大学名誉教授の岡田正彦氏(医学博士)への取材によるようです。

岡田氏によると、350ミリリットル缶ビールは約150キロカロリーあるが、実際に摂取されるのは50キロカロリー程度。 おにぎりの4分の1程度だという。「4本のビール=おにぎり1個程度のカロリーですから、これがメタボの原因になるとは言いにくい。しかも、ウイスキーや焼酎などの蒸留酒はさらに吸収されるカロリーが低いんです。酒で太らないことは、外国の研究でも明らかになっています」

これによると、アルコールによるカロリーも体に吸収されるものの、ビールの場合で表示カロリーの3分の1程度、蒸留酒の場合にはさらに吸収されるカロリーは低いと。たしかに缶ビール4本でお握り1個程度のカロリーであれば、アルコールは太りやすいとは言えないでしょうが、本気のダイエッターにとっては無視できる数字ではありません。

2.アルコールを摂取すると、糖質が消費されなくなる?

やはりアルコールそのものでも太るということでしょうか。しかし、アルコールのカロリーが体内に吸収されたとして一体なにに変わるというのでしょう。繰り返しになりますが、アルコール自体は糖質、脂質、たんぱく質ともに全てゼロですから、アルコールが体内で脂肪に変換されることは無いように思ってしまいます。

この点についてのヒントになりそうな記述ががありました。『「酒を飲んでも太らない」「タバコを吸うと痩せる」は本当か』とのタイトルのNEWSポストセブンの記事です。こちらは、医学博士で健康科学アドバイザーの福田千晶氏による解説です。

「お酒しか摂取しなければ確実に痩せます。ただ、必要な栄養素は何も摂れません。またアルコールには食欲増進作用があってつまみを食べ過ぎてしまうし、アルコールで摂取したカロリーを優先的に消費している間、他に食べたもののエネルギーは使われず、脂肪が蓄えられる原因となります」

アルコールだけならば確かに太らない。しかし、「アルコールで摂取したカロリーを優先的に消費している間、他に食べたもののエネルギーは使われない」というのが、食事量が同じであってもアルコールを摂取しながらだと太るという事実の根拠になりそうです。

このことについて調べてみたところ、医師などによる解説は見つけられなかったのでリンクを貼るのは控えますが、仕組みとしては次のとおりのようです。

アルコールの処理は肝臓でおこなわれるが、糖質の処理も肝臓の役割である。そして、アルコールと糖質を同時に摂った場合、アルコールの処理が優先されるので、処理を後回しにされた糖質が脂肪に変換されやすくなる。

恐ろしい話ですが、このような仕組みなのであれば納得がいきます。肝臓をアルコールの処理で目一杯の状態にし続けていると、放っておかれた糖質が脂肪に変換されてしまうと。そうであれば、蒸留酒ならば糖質がゼロだから太らないということにはならず、アルコールと糖質を同時に摂れば太るというのが結論であるわけです。

3.アルコールは体に蓄積されないが

さらに、参考になりそうな情報を探してみると、『ダイエットの味方?「太りにくいお酒」は何か』とのタイトルの東洋経済オンラインの記事が見つかりました。こちらは、The New York Times の記事を翻訳したもののようで、少し意味の分かりづらいところがあるのですが、興味深い話もありますからぜひリンク先の記事をお読みいただきたいと思います。

この記事は、『2015年に「カレント・オベシティ・レポーツ」に掲載されたもので、カナダの東オンタリオ研究所小児病院のグレゴリー・トラバーシーとジャン・フィリップ・シャプーがまとめた』調査に基づくものであり、『最新の研究では、過度の飲酒をする人は体重が増加し、「軽度から中程度のアルコール摂取は、体重の増加もしくはウエストサイズの変化と関連性がない」と結論づけている』としています。

この結論だけだと、結局アルコールで太るのかどうかは分かりませんが、記事中に次のような記述があります。

タンパク質や脂質、炭水化物と違い、アルコールは体に蓄積されない。アルコールのカロリーは燃焼に使われ、その分その他のカロリー源の消費が減ってしまう。つまりお酒を飲む人とは、体重を維持するには食べる量を減らすか、運動量を増やさなければならないということだ。

少し意味が分かりづらいですが、アルコール自体は体に蓄積されないということは、つまりアルコールだけでは太らないとの結論で間違いなさそうです。しかしながら、「アルコールのカロリーは燃焼に使われ」というのを、先ほどの「肝臓によるアルコールの処理」だと考えると、アルコールの処理をしなければならない分だけ他のカロリー源、つまりは糖質の消費が減ってしまうわけです。

やはり、食事の内容が全く同じであったとしても、アルコールと同時に摂取すれば太りやすくなるというのが結論となりそうです。そして、アルコールの処理そのものが問題なのだから、蒸留酒ならば太らないということにはならないと。

4.やっぱりお酒は太る

今回、アルコールで太るのかを調べてみた結果、私にとっての「不都合な真実」を知ることになってしまいました。やっぱり、お酒を飲みながら食べれば太るようです。

しかしながら、それじゃあお酒は止めようという結論には今のところ至りません。ダイエットの歩みが遅くなるのは承知の上で、毎日の晩酌を楽しみつつも肉体改造を進めていきたいです。

そこで改善すべき点としては、飲んでいるときの糖質摂取は今まで以上に避けるようにすること。もちろん締めのラーメンなどは言語道断として、そもそも夜はご飯や麺類などいわゆる主食は基本的に食べないようにしていますが、それ以外に含まれる糖質も出来る限り避けるようにします。

さらには、有酸素運動をさらに積極的におこなうようにすること。これまでは、筋トレを多めにして筋肉量の増加を目指していけば、有酸素運動はそれほどしないで良いと考えていましたが、毎晩アルコールを摂取するからには有酸素運動をもっと増やしていこうと思います。

こんなに頑張っているのになかなか痩せない原因はやっぱりお酒だったのかもしれません。でも、それが不都合なものだったとしても真実を知るのは大切なことなのであり、今からまた頑張っていきます。